最近、ちょいちょい「マインドフルネス」という言葉を聞くようになってきましたね。割とメジャーなところというか、テレビで特集されるのとかも見ましたし、結構市民権を得てきた感じですね。
私も前から興味があって、実践もしてました。胡坐をかいて目をつむり、呼吸の数を数える、という方法の瞑想で、まあ仏教の座禅みたいな恰好ですね。だからまあ、こういうと問題あるかもだけど、あんまり人に見られたり、やってますって言ったりできませんでした(笑)。オウム真理教とかありましたしね。例えば親とかに見られたら、「変な宗教にイカれたんじゃないか!?」なんて心配されかねない。
なので最近世の中に広まってきてくれたのは私にとっても嬉しいことです。
で、本を紹介してみようと思います。
『ストレスに負けない生活』熊野宏昭著 ちくま新書
『マインドフルネスストレス低減法』J.カバットジン著 北大路書房
『マインドフルネス最前線』香山リカ著 サンガ新書
の三冊です。
最初の熊野本はタイトル通り、マインドフルネスの専門書ではなくて、「ストレス対策」一般に関する本です。その中でマインドフルネスが取り上げられています。マインドフルネスに興味を持っている人は、恐らく日々の生活の中の悩みやストレスをどうにかしたいと思ってらっしゃる人が大部分だと思われます。なので、その意味でもこの本はおすすめです。そもそもストレスとは何か?も論じられてますし、マインドフルネス以外のストレス対策も学べて、新書で手軽ですしおすすめです。
熊野本のアイディアで良いなと思ったのは、「リラックス貯金」という考え方です。ストレスは「たまる」という言い方をしますが、実際にはもちろんそういった物質があるわけではないのですが、そういう比喩でいうわけです。で、ストレスが「借金」だとすれば、その逆の「リラックス」もたまる、つまり貯金できる、と考えるのだそうです。だから日ごろから、ストレスが多い時も少ない時も、毎日の習慣として、「リラクセーション」の状態を作る時間を持てば、ストレスに対する耐性自体が強まる、ということです。
で、その「リラクセーション」というのも、医学的に厳密な概念としては、単に「リラックス」している状態、例えば睡眠状態とかとは区別される、特別な心身の状態を指して使われる言葉なのだそうです。マインドフルネスの瞑想などによってもたらされる、脳波の測定などによって定義される特別な状態を、「リラクセーション」と呼ぶそうです。
カバットジンの本は、一般の読者が、つまり精神科医とか医者とか心理学者が研究書として読むものではなく、独習して実践するためのテキストとしては、決定版的な一冊のようです。この本を一冊読めば、具体的な実践法については学べます。先に書いた、呼吸を数える方法だけでなく、「ボディスキャン」と呼ばれる、体を横たえて、身体感覚を足の先から頭の先までゆっくり移動させていく瞑想法についてとか、ヨーガ的なストレッチ法についても学べます。
最後の香山本は、精神科医の香山リカが、永井均(哲学者)、アルボムッレ・スマナサーラ(初期仏教長老)、永沢哲(宗教人類学者)、そして先のストレス本の熊野宏昭(心療内科医)の四人と行った対談本です。
特に哲学者の永井均との対談が私にとっては興味深かったです。永井均という人は、なんというんだろうか?日本で哲学に興味を持っている人だったら、あるいは香山リカのように哲学を専門にしていない人も含めて、「一般読書界(?)」的な場所におけるスタープレイヤーの一人でして、その知的能力や知的誠実さに関してはかなりの信頼があります。香山リカも、永井の著作の「愛読者」として、永井が瞑想を始めた、ということに驚いたという。
私も、およそ永井均と瞑想が結びつかず、びっくりし、かつ興味を持った一人です。
そしてこの香山との対談でも、永井は興味深いことを言っています。まず、座禅をやっている最中自体が気持ちいい状態だったそうなんですが、日々継続してやっているうちに、普段からの気分もよくなった、というのです。そしてさらに驚くべきことに、本人が自覚して気分がいいのみならず、妻からも、「このごろ性格変わったね」「なんだか朗らかな人にとになった」と言われたそうです。
「朗らかな人」!永井さんも言うように、「朗らかな人」って日常の口語であまり言いませんよね(笑)。本とかの書き言葉では読むけど。マインドフルネスの効果恐ろしい…、日本人をして、「朗らか」という言葉を使わしめるのか…、と。まさに熊野本に言う「リラックス貯金」で、継続してやっているとそもそもの体質が改善されるようです。
まあ、私自身は大して「朗らか」な人にはなれていませんが。しかしそれでも、仕事に行く前と仕事から帰ってきた後に、5分から10分くらいの瞑想を可能な限り毎日やっていて、だいぶ気持ちは変わってきた、とは思っています。仕事のストレスに対する耐性がついてきた、というか。
マインドフルネスおすすめです。
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