ひきこもった過去を変えたいか?

「もし、ひきこもっていなかったら」ってなことを考えなくはない。ふと思ってしまう瞬間はあります。

とはいえ、端的に過去は変えられない、ってことは痛いほどわかっているので、本気でこのことについて考えたりはしないんですが。

で、かといって「ひきこもった過去があるから今の俺があるんだ」的な物言いも、なんというか歯の浮くようなキレイゴトに思えてしまって、あまり心を動かされないんだけど。

しかしまあ、ふと、ちょっとそのことについて考えてみようかな、なんて思いまして。

で、唐突なんですが、これって言葉の罠、ってやつなのでは?という考えに至りました。

言葉の持つ抽象性と創造性からくる罠なのでは?と。

言葉の「ナンセンス」って何種類かありますよね。

「じちゃとくがませ」は、ひらがなで書かれてるから少なくとも英語ではなさそうだが日本語の語彙には登録されてなさそうな、(おそらく)意味不明な言葉ですよね。

「は学校行くに私」は、単語の一個一個は存在するけど、文法的な並びがルールを逸脱していて理解不能になっている。

「丸い三角形」「妻のいる独身者」は、単語は意味が分かるし、文法的にも、修飾語+名詞という形で正しい。だから一見したところ違和感がないかもしれないが、言葉の意味を吟味することによって、違和感の正体が明らかになる。つまり、言葉の意味として、「概念」として矛盾している。「三角形」は、その定義上、「丸く」あることができないし、「独身者」ってのは、「妻や夫がいない者」のことだ。

で、「もしひきこもっていなかったら」なんだけど。一見日本語としては理解可能なように思えるんだけど、これって実は原理的には「思考不可能」なのではないだろうか?

歴史にifはない、ってやつだけど。例えば過去のどの時点まで戻ればいいのか?どの時点で何が変われば「私」は「ひきこもらなかった」のか?そもそもそれは「私」なのか?

例えば、中学生のあの時、もっと積極的に学校の勉強なり部活なりに打ち込んでたら、とか仮に考えるにしても、それってもう「私」ではないのでは?と思えてしまう。まさにあの時あんな中学生だった俺が俺だし、って。頑張っている「俺」はもう「俺」には思えない。

じゃあさらにさかのぼって小学生の時に…、っていう時期の問題でもない気がしないだろうか?結局さっきの中学生の時と同じだ。まさにそういう小学生だった人間が「私」なわけだから。

じゃあじゃあ、そもそも別のご両親から…、ってそれはもう、「自分の過去」ではなく、「別の人生」の想像だし。

…ってなことを言いだしたら、「過去に戻ってどこを変えたい?」みたいな問いなんて成り立たないじゃん!って思いました?

や、だからそうなんですよ。それって「成り立たないん」ですよ、そもそも。

だからこそ多くのSF小説や映画で、タイムパラドックスもの特有の矛盾とか理解しがたさが噴出するのでしょう。「バックトゥザフューチャー」で、…って、「ネタ古い」とか「知らん」とか言わないでください…、おっさんだからしょうがないでしょ…。マーティーんとこの両親はくっついても、お前がその世界に行ったおかげで、お前が話したり接触したりした別のカップルが別れたんちゃうん!?で、そしたらまわりまわってバタフライ効果でお前んとこの両親も別れたんちゃうか!?とか「お前」という存在自体がその世界に現れたこと自体、その空間を占めてるだけでも、「ラプラスの魔」的に言えば「分子」とかの水準で決定的に違うし!そんで結局バタフライ効果で…(以下略)

や、まあ結局何が言いたいかというと、「過去」というのは言葉の意味として、概念として、その中に「不変である」ってことが含まれているのではないか、と。だから、「もし過去を変えられるとしたら…」ってのは、一見日本語としてはそんなに変じゃないし、何となく思考可能なように思ってしまうのだけど、その実、「丸い三角」的な思考不可能性を持っているのではないか?ってなことです。

まああんまり人生訓的には意味ないけどね。というか「過去は変えられない」って誰もがわかっているんでしょうけど。でもやっぱり過去を悔んだりしちゃうわけです…。

だから逆に言うと、なんでこんなことをしばしば考えちゃったり、フィクションにおいて「タイムリープもの」が一定の人気があるんでしょうね?

結局、その人は(私は)今現在に不満を抱いているのだ。で、その不満を過去に投影している。

実際には、不満とちゃんと向き合って、唯一変えられる「今ここ」の行動で、どうにかするしかない、ってのは理屈で分かっていてもしんどい。

人間(というか私は…)弱いんで、不満や問題をちゃんと真正面から直視して、まっとうな努力や行動をとる勇気や覚悟がない…。で、過去のあれがああだったらなぁ…、になる、と。

…、よし、明日もお仕事がんばろ、っと!

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