ハリス本に関する投稿は、とりあえず今回で終了です。ですので最後に全体のまとめを行って終わりにしたいと思います。
この本が最終的に目指しているのは、読者がエクササイズを通して、「心理的柔軟性」=「心のしなやかさ(『ACT 不安・ストレスとうまくやるメンタルエクササイズ』武藤崇著 主婦の友社 p.86)」を獲得、あるいは高めることにより、幸福に生きること(=豊かな、満ち足りた、意味ある人生)、です。
そもそも私たちはなぜ、先進国に生まれ物質的には豊であっても、不幸を感じてしまうのか?それは進化の結果です。人間の心は、常に過去を悔み、未来を心配し、自分と他者を比べ自分の足りない部分を意識し続けるように「進化」してきたのです。
それに対し、ネガティブな思考を追い出し、ポジティブシンキングで満たそう、とする戦略は、あまりうまくいかない。それは人類の長い長い歴史に、あるいは「人間性そのもの」に、戦いを挑むのに等しいからです。
それならばむしろ、そういったネガティブ思考のマイナス面の持つ否定的な力を弱める戦略の方が良いでしょう。具体的にはマインドフルネスの技法がそれです。
マインドフルネスの技法によって、過去と未来にとらわれることなく、「今、ここ」を生きられるようになる。それ自体が既に、「今、ここ」に満ち足りることを可能にしてくれます。
とはいえしかし、ACTは「置かれた場所で咲きなさい」式の、「与えられたものだけで満足しなさい」式の考え方(あるいは「お説教」?)ともちょっと違います。「お金持ち」とか、「有名になりたい」とかのいわば通俗的な「成功」を目指したってかまいません。ただし、「それらを手に入れない限り自分は不幸である」と考えることには反対するだけです。
で、積極的に「なりたい自分になる」「心の底からの欲求を満たす」ための技法が、「価値」という考え方です。自分の中の「価値」を明確化し、その価値に従って行動目標を作る。そしてそのあとは行動あるのみ。行動がうまくできなかったら、行動目標に無理があったのかもしれません。その場合は目標を変更しましょう。
ACTをまとめるとこうなります。マインドフルネスの技法+価値の明確化とそれに沿った行動=心理的柔軟性。
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